共有結合の物質

【分子からなる物質】

分子からなる物質の性質

 分子はいくつかの原子が〔 共有結合 〕によって結合してできた粒子である。分子からなる物質は分子を構成粒子とした物質で,分子どうしは〔 分子間力 〕によって集まっている。分子間力は比較的〔  〕い結合なので,一般に,イオンからなる物質に比べると,分子からなる物質の融点,沸点は〔  〕い。

 

分子結晶

 分子からなる物質の結晶を〔 分子結晶 〕という。多数の分子が〔 分子間力 〕によって規則正しく配列している。分子間力は弱い結合なので,分子結晶は融点が低い。特に二酸化炭素,ヨウ素,ナフタレンなどは分子間力が弱いので,〔 昇華 〕しやすい。

 

氷(水の結晶)

 氷は水分子が分子間力により集まってできた結晶である。水分子H2Oは,折れ線形の立体構造をもつため,分子全体で電子のかたよりがみられる極性分子である。また,水分子にはHOの結合が存在するため,水素結合が生じる。液体の水が固体の氷に変化するとき,水分子1個あたり4個の水分子と水素結合によって引き合う氷の結晶はすき間の多い正四面体の構造をとっている。そのため,次のような通常の分子ではみられない特異的な性質をもっている。

通常の物質の密度(体積あたりの質量g/cm3)は液体よりも固体の方が大きいが,水は液体の方が固体よりも大きい(通常の物質では,固体を液体に入れると固体は沈むが,氷は水に浮く)水が氷になると,体積が1割増え,密度が約1割減少する。密度は4℃のとき最大で1.00g/cm3となる。

 
 

【共有結合の結晶】

 多数の原子がすべて共有結合で結合した構造の結晶を〔 共有結合の結晶 〕という。分子は,H2OCO2などのように,いくつかの原子が共有結合してできた粒子である。共有結合の結晶は,分子と同じように原子が共有結合によって結合しているが,原子の数が多いので〔 巨大分子 〕とよばれる。共有結合の結晶には,〔 ダイヤモンド 〕,〔 黒鉛 〕,〔 ケイ素 〕,〔 二酸化ケイ素 〕などがある。


主な共有結合の結晶

 ダイヤモンドと黒鉛は共に炭素の〔 同素体 〕である。ダイヤモンドは炭素原子が4個の価電子(最外殻電子)すべてを用いて他の炭素原子4個と共有結合している。そのため,〔 正四面体 〕構造がいくつも重なり合った結晶となり非常に硬くなる。一方,黒鉛は3個の価電子を用いて他の炭素原子3個と共有結合している。そのため,平面で炭素6個が〔 正六角形 〕構造を形成して,その平面構造がいくつも重なり合った結晶となる。平面構造どうしは互いに弱い〔 分子間力 〕によって結合しているため,ダイヤモンドよりも柔らかい結晶と

なる。また,黒鉛は炭素原子が価電子を1個余らせている。この余った価電子は自由に動くことができるので,〔 電気伝導性 〕を生じる。

ケイ素Siはケイ素原子がダイヤモンドと同様の構造をした結晶である。二酸化ケイ素はケイ素原子Si 1つと酸素原子O 2つが繰り返し結合し,ダイヤモンドのような結晶となる。

 
 

【高分子化合物】

 多数の小さな分子が結合して大きな分子になったものを〔 高分子化合物 〕という。このときの小さな分子を〔 単量体 〕,単量体が多数結合してできた高分子を〔 重合体 〕という。また,単量体が多数結合して重合体になる反応を〔 重合 〕という。

 

ポリエチレン

 多数のエチレンが結合(重合)すると〔 ポリエチレン 〕ができる。この場合,単量体が〔 エチレン 〕,重合体が〔 ポリエチレン 〕である。ポリエチレンは,包装フィルムやバケツなどの材料に使用される。

 

エチレンCH2CH2は二重結合をもち,エチレンのように二重結合をもつ分子は,二重結合が開いて(結合が1本切れて),それが次々と結合して高分子になる重合を特に〔 付加重合 〕という

 

ポリエチレンテレフタラート

 多数のエチレングリコールとテレフタル酸という2種類の物質が結合すると〔 ポリエチレンテレフタラート〕ができる。ポリエチレンテレフタラートは,飲料のペットボトルの原料である。 
 
 

この場合,2種類の分子間からH2Oのような小さな分子がとれて,残りが結合することによって高分子ができる。この重合を特に〔 縮合重合 〕という。